アラサー女子は甘い言葉に騙されたい




 少し緊張しているのか、周の頬は赤くなり、目を潤んでキラキラと光って見える。
 それ恥ずかしさが吹雪にも伝わってきて、先程よりも鼓動が早くなっている。
 逃げ出したい気持ちになるけれど、けれど、周の言葉を聞きたくてしかたがなかった。吹雪は顔を同じように赤くさせながら、周と視線を合わせた。


 「俺の気持ちは、もう伝わった?」
 「………言葉にして欲しい………私、周くんの気持ちを言葉でも知りたい」
 「うん…………。俺は初めてあった時から吹雪さんに惹かれて、初めて女の人を好きになったんだよ。………俺は吹雪さんが好き。恋人になってくれませんか?」
 「はい。私も周くんが好き、です…………
 「ほ、本当に!?やった………嬉しいよ………!」


 周はそう言うと吹雪を先程とは違って強く強く体を抱き寄せ、「夢みたいだ……」も呟いた。
 自分が好きだと伝え、それをこんなにも喜んでくれる人がいる。しかも、それは自分の想い人なのだ。周と同じ気持ちだったのが嬉しくて、目が熱くなる。


 「やっと恋人になれるんだね」
 「う、うん………」
 「恥ずかしい?」
 「恥ずかしいよ!だって………幸せすぎるよ」
 「じゃあ、不安にさせた分、もっと幸せにするから……」


 そう言って、周は吹雪に顔を寄せた。
 綺麗で優しい顔が、男らしいものになっている。
 吹雪はそんな彼の表情に見つめ、そして彼の唇が触れそうになると、自然と目を瞑り彼のキスに答えた。




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