琥珀色の夕焼け、空を映した青
琥珀色の夕焼け
「レシュノルティアに行って来い、フェリシア」
 畑で草取りをしていると父様に呼び出され、いきなりそんな事を言われた。
「どうしてですか、父様」
「近く、彼の国で王太子妃選びの大事な晩餐会がある。是が非でもお前を出席させろと、カーマストラ大臣に言われたのだ」
 レシュノルティアといえば、北西の海沿いにある国だ。大中小で分ければ中くらいの国。と言っても、ここレイヴァンズと比べれば結構な大国だ。
「は? 王太子妃選び? 何考えてるのよ、私がリストに上がるわけないじゃない。渡航するだけお金の無駄。それならもう一台トラクターを買って欲しいわ。そうすればもっと効率よく作業出来るもの」
 野良仕事スタイルで顔に泥付けてる私の格好を見て、父様は深い溜息をつく。
「百パーセント有り得ないと言ったのだがな。しかし、弱小な我が国に今必要なのは他国との繋がりだと――」
「押し切られたのね。そんな気弱な事だから、大臣達に実権握られてこんな山奥の離宮でお飾りにされるのよ」
 キッパリ言ってやると、父様はもごもご口ごもった。
 レイヴァンズは四方をぐるりと山に囲まれた、とても小さな国だ。人口は十万弱。大国にしたら一つの街くらいでしかないだろう。資源は木材くらいで、土地は痩せている。国民の大半は貧しく、それが心苦しい。
 私、フェリシアはレイヴァンズ国の第一王女だ。十二離れた、今年八つになる弟が王太子。残念ながら、母様は弟のルディを生んだ年に病で亡くなった。
 同じ頃、大臣達が父様から実権を奪い、お飾りの国王もろとも私達王族を離宮へ追いやった。気弱過ぎる国王の執政に業を煮やしたというのも確かだが、裏に良からぬ思惑が無いわけではないのだろう。王族の年金を減額し、国内にこれといって大きな事業も無いのに、税金がじわじわと上がっているのが良い証拠だ。一体何に使っているのやら。

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