琥珀色の夕焼け、空を映した青
お飾りの私達に付いて離宮に来てくれたのは、片手ほどの使用人しかいなかった。私は炊事洗濯を覚え、畑の耕し方を教わった。渋る父様の尻蹴飛ばして貴金属を売っぱらい、そのお金を元手に離宮の庭を農場に変えた。試行錯誤を繰り返し、三年前から安定した収穫が得られるようになった。
『そうしてると、一般市民と変わらないですね、姫様』
泥だらけの私を見て、五年前に拾った小姓のコウがよくそう言う。
『あら、良いじゃない。国民と同じ暮らしが出来て、苦労を少しでも知れたら本望だわ』
作っているのは小麦と越冬野菜。収穫の内、四分の一は自分達の食材。残りの半分は収穫祭の時に城下の街で売り、得た収益は農場の費用と使用人達へのささやかな賞与に当てている。もう半分は各街の養護院等に寄贈し、喜んでもらえている。
『僅かでも役に立ちたい。自分に出来る事は何でもしたい。私、お飾りでいるのが嫌なの』
そう言うと、コウはしみじみと呟く。
『姫様が男だったら良かったのに』
本当、私が男だったら良かったのに。
「頼むよ、フェリシア。レシュノルティアへ行ってくれないか」
この通り、と両手合わせる父様。本っ当に国王に向いてない。長男に生まれたがゆえ問答無用で王位に就かされた事は同情するけれど、もっとしっかりして欲しい。
「もう一度言うけど、お金の無駄よ」
「レシュノルティアの王太子を射止めろとは言わん。とにかく行ってきてくれるだけでいい」
「大臣を怒らせると怖いものね。分かりました、参りますわ。それで良いんでしょ?」
「恩にきるよ、フェリシア」
一安心している父様に背を向けて部屋を出た。
王太子妃選びの晩餐会、か。
所詮、王族の女は駒にしかなれないのね。王家に生まれた以上、もっと違う形で国に尽くしたいのに。
『おやおや、可愛らしい姫様が政事に御意見なさるおつもりですかな?』
滲んだ涙をぐいと拭って、畑に戻った。日が沈むまでに草取りを終わらせてしまいたい。
怒りに任せて猛烈に草を引っこ抜く私を、コウが心配そうに見ていた。
『そうしてると、一般市民と変わらないですね、姫様』
泥だらけの私を見て、五年前に拾った小姓のコウがよくそう言う。
『あら、良いじゃない。国民と同じ暮らしが出来て、苦労を少しでも知れたら本望だわ』
作っているのは小麦と越冬野菜。収穫の内、四分の一は自分達の食材。残りの半分は収穫祭の時に城下の街で売り、得た収益は農場の費用と使用人達へのささやかな賞与に当てている。もう半分は各街の養護院等に寄贈し、喜んでもらえている。
『僅かでも役に立ちたい。自分に出来る事は何でもしたい。私、お飾りでいるのが嫌なの』
そう言うと、コウはしみじみと呟く。
『姫様が男だったら良かったのに』
本当、私が男だったら良かったのに。
「頼むよ、フェリシア。レシュノルティアへ行ってくれないか」
この通り、と両手合わせる父様。本っ当に国王に向いてない。長男に生まれたがゆえ問答無用で王位に就かされた事は同情するけれど、もっとしっかりして欲しい。
「もう一度言うけど、お金の無駄よ」
「レシュノルティアの王太子を射止めろとは言わん。とにかく行ってきてくれるだけでいい」
「大臣を怒らせると怖いものね。分かりました、参りますわ。それで良いんでしょ?」
「恩にきるよ、フェリシア」
一安心している父様に背を向けて部屋を出た。
王太子妃選びの晩餐会、か。
所詮、王族の女は駒にしかなれないのね。王家に生まれた以上、もっと違う形で国に尽くしたいのに。
『おやおや、可愛らしい姫様が政事に御意見なさるおつもりですかな?』
滲んだ涙をぐいと拭って、畑に戻った。日が沈むまでに草取りを終わらせてしまいたい。
怒りに任せて猛烈に草を引っこ抜く私を、コウが心配そうに見ていた。