恋に負けるとき


この高校に入学して



もうすぐ



1か月。




合格確実だったはずの




公立高校受験の日に



39度の熱を出した私は




近いというだけで



志望していたこの学校に入学した。




ここは、県内でも有名なスポーツ名門校で




スポーツ毎に体育館を持っているような




生徒数も多いマンモス校。




なのに、同じ中学校のひとは




一人もいない。




中学校の友達は



(ゆい)なら



すぐに友達できるから、大丈夫だよ!」




そう言ってくれたけど



ここは、クラスの3分の2以上が



運動系の部活に所属していて



それ以外の人たちは




ちょっとヤンチャなひとが多くて…




運動オンチで帰宅部で




おまけに地味な私は



みんなのペースにも



活発さ?にも



馴染めていなくて




すぐに帰宅部ならと



先生に任命された



園芸委員の仕事をするだけで





もうすぐ1か月が経とうとしている…。




自然とうつむくことが多くなって




私の視界の中心はパンジー。




天気は良くて




暖かくて




気持ちがいい日なのに




パンジーはかわいいのに




こんなに寂しく見えるなんて…







そんな時…





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