続・闇色のシンデレラ
「は?」



間抜けな声を出したのは、予想外にも、志勇だった。

彼はもちろん、その場にいるみんなが、彼が別れの言葉を告げると思っていたからだ。



「え……え?」



告げられた当の本人、潤ちゃんも困惑している。



「最初はそりゃあ、関わらないでほしいの一択だった。
女に時間を割くほど暇じゃねえし、俺に関わるとろくな事がないからな。
でも、真っ直ぐで純真で、なんて健気な女なんだろうって感じた。
それと同時に、俺はいつの間にか、お前さんを目で追うようになっていた」



……未だかつて、こんな力弁する剛さんを見たことがあるだろうか。

否、こんなハキハキと自分の意見を発する彼は私は見たことがない。



「でもな、本来ならここでお前を突き放さなきゃならねえんだ。
ヤクザの世界に足を踏み入れりゃ、良くも悪くも地獄だ。
お前の命だって危ぶまれるかもしれない。
それでも、覚悟を決めて、どうしてもお前が俺を好きでいてくれるっていうなら……」

「……」

「それを踏まえた上で……これからも俺を、追いかけてほしい」



真正面からそう伝え、剛さんは潤ちゃんの肩から手を離した。

後に続くは幾ばくかの沈黙。

それを破ったのは────



「はいっ!これからも剛さんのこと、追いかけ続けます!」



うっすらと涙を浮かべ、満面の笑みを見せた、潤ちゃんだった。
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