続・闇色のシンデレラ
「琴音さんって俺の兄貴にそっくりなんだよね。『なんでもない』って言って本音を隠し続けて死んで行った兄貴に」



もう声は思い出せない。ただ、兄貴の優しそうな笑顔は脳裏に染みついて離れない。

今思えばあの笑い方と琴音さんの笑い方は似ている。



「あ、ちなみに俺の兄貴のこと知ってる?“シンデレラ”の暗殺に失敗して生きたまま燃やされた男なんだけど」

「……」



なんとなく上の空の琴音さん。あえて淡々と顛末を伝えると、信じられないといった顔で俺を見た。

……それは何に対しての顔?俺の兄貴を同情して?それとも兄の死を冷淡に語るデリカシーのない俺に?

まあ、どっちだっていいけど。



「なんとなくさ、琴音さんが同じ道を辿りそうな気がして嫌なんだよね。
ごめん、俺がイライラしてんの伝わってるよね」



へら、笑うと琴音さんは一瞬口を開いたがすぐに閉じた。



「ただ、兄貴や琴音さんみたいに優しい人って、なんで誰にも相談しないんだろうと思って。
なんで自分が我慢すりゃいいって思ってんの?苦しくない?辛くない?」



一方的に質問して、苛立ちを彼女にぶつける。

その苛立ちは兄貴を救えなかった自分自身にも向けられていた。



「だって、私は……」



しばらくして、重い腰をあげるように頑なに閉じていた口を開いた琴音さん。

返答が来ると思っていなかった俺は少し驚いた。
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