クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
「学生時代もあれこれ制限されて、君の言うような思い出を作る機会はなかった。遠足だって俺だけ特例でなしだ。それまでグループで遊園地に行くんだってわくわくしてたのに。ひどい話だろ」
「だから遊園地に行ったことがないって……」
「……思ってたよりずっと、子供っぽい場所なんだな」
外に向けた視線を私も追いかける。
「子供のときに来ていたら、今日どうやって君と歩けばいいかもわかったんだろうか」
「……ふたりとも初めてなら、それはそれでいいんじゃないでしょうか」
「君も初めてだったのか?」
「はい。学生時代は……いわゆるお嬢様学校にいたので、遊園地には来なかったんです」
幼稚園からエスカレーター式で通った学校は、遊ぶよりも勉強を重視した。
校外学習といえば基本的にはボランティアで、修学旅行も名前ばかり。行った先は農家での農業体験だった。
それはそれでおもしろいし、いい経験になったとも思うけれど、社会に出てから周りとの温度差に気付き、羨ましさを覚えたのもたしかだった。
「私も子供の頃に来てみたかった。大学院まで行かせてもらったのは本当にありがたいと思ってるけど……そういう選択も含めて、もっと自分の意思で生きてみたかったなって思います」
「うん、わかるよ。だけどあれだな、君のお父さんは早く結婚させたがるタイプなのかと」
「父より、私が早く結婚しなきゃいけないって思ってたんです。……これはもう話しましたよね」
夏久さんが頷く。
これを話したからこそ、私たちの間に誤解が生まれる結果になった。
「だから遊園地に行ったことがないって……」
「……思ってたよりずっと、子供っぽい場所なんだな」
外に向けた視線を私も追いかける。
「子供のときに来ていたら、今日どうやって君と歩けばいいかもわかったんだろうか」
「……ふたりとも初めてなら、それはそれでいいんじゃないでしょうか」
「君も初めてだったのか?」
「はい。学生時代は……いわゆるお嬢様学校にいたので、遊園地には来なかったんです」
幼稚園からエスカレーター式で通った学校は、遊ぶよりも勉強を重視した。
校外学習といえば基本的にはボランティアで、修学旅行も名前ばかり。行った先は農家での農業体験だった。
それはそれでおもしろいし、いい経験になったとも思うけれど、社会に出てから周りとの温度差に気付き、羨ましさを覚えたのもたしかだった。
「私も子供の頃に来てみたかった。大学院まで行かせてもらったのは本当にありがたいと思ってるけど……そういう選択も含めて、もっと自分の意思で生きてみたかったなって思います」
「うん、わかるよ。だけどあれだな、君のお父さんは早く結婚させたがるタイプなのかと」
「父より、私が早く結婚しなきゃいけないって思ってたんです。……これはもう話しましたよね」
夏久さんが頷く。
これを話したからこそ、私たちの間に誤解が生まれる結果になった。