クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
「昔から親が厳しかったんだ。あれはするな、これもするな、ひとりで出掛けるな、買い食いはするな、とか」
少しずつ鼓動が速くなっていくのを感じた。
夏久さんが自分のことを話すのは、これが初めてだ。
「だから最初に君の話を聞いたとき、なんとなく似てると思ったんだよな。ほかの人間にとって当然のことを、俺もしてこなかったから」
「それは……おうちが……ええと、お金持ちだからですか」
うまい言い方が見つからなくて、子供のような聞き方になる。
夏久さんもそれに気付いたのか、口元に微笑を作ったのが見えた。
「そうだな。ひとりっ子だから余計に大変だったんだ。誘拐されるかもしれないし。俺が犯罪に巻き込まれないよう、両親は束縛するしかなかった――って今なら理解もできるんだが……」
「ご両親も心配だったんでしょうね」
「そういう親にはなるまいと思ってたのに、君には似たようなことをした気がする」
――心配だから縛り付ける。
たしかに夏久さんのこれまでの行動は、私の自由を奪うものが多かった。
「でも、試行錯誤していたと思うんです。サプリのこととか」
「あれは……。悪い、言われるまで本当に考えが至らなかった」
「……いいんです」
今までで一番夏久さんと向き合えている気がした。
穏やかに向き合って、ふたりだけの時間をやっと共有する。
少しずつ鼓動が速くなっていくのを感じた。
夏久さんが自分のことを話すのは、これが初めてだ。
「だから最初に君の話を聞いたとき、なんとなく似てると思ったんだよな。ほかの人間にとって当然のことを、俺もしてこなかったから」
「それは……おうちが……ええと、お金持ちだからですか」
うまい言い方が見つからなくて、子供のような聞き方になる。
夏久さんもそれに気付いたのか、口元に微笑を作ったのが見えた。
「そうだな。ひとりっ子だから余計に大変だったんだ。誘拐されるかもしれないし。俺が犯罪に巻き込まれないよう、両親は束縛するしかなかった――って今なら理解もできるんだが……」
「ご両親も心配だったんでしょうね」
「そういう親にはなるまいと思ってたのに、君には似たようなことをした気がする」
――心配だから縛り付ける。
たしかに夏久さんのこれまでの行動は、私の自由を奪うものが多かった。
「でも、試行錯誤していたと思うんです。サプリのこととか」
「あれは……。悪い、言われるまで本当に考えが至らなかった」
「……いいんです」
今までで一番夏久さんと向き合えている気がした。
穏やかに向き合って、ふたりだけの時間をやっと共有する。