クールな社長は懐妊妻への過保護な愛を貫きたい
なにが起こるのか私の中では漠然としていたのに、夏久さんは最初から知っていたようだった。
初めて男性とふたりでホテルに入り、ベッドの上で向き合い――シーツの海に押し倒される。
「格好がつかないな。君を助けたつもりだったのに、これじゃあ俺の方が悪人だ」
「夏久さんは悪い人なんですか?」
「世間一般的に見ると、そうだな」
夏久さんの指が私の髪をすくいとって滑っていく。
「バーで出会った女性を言葉巧みに持ち帰った悪い男だ」
「言うほど、素敵なお誘いの言葉をもらった記憶はないですけど……」
「正直、考えている余裕はなかったな」
苦笑いしながら言うと、夏久さんは着ていたジャケットを脱いで床に放り投げた。
ネクタイを荒っぽく緩める姿に男性的ななにかを感じてどきりとする。
それから、お互いに言葉もなく見つめ合った。
時間が止まっているようで、同時にすごい速さで進んでいるようにも感じる。
(出会ってすぐこんなことをするのは、よくないんだと思う。ちゃんとこういうのは順番があるんだから。でも……そんな順番、今は忘れたい)
気遣うようなキスが落ちて、想像以上に動揺してしまう。