春夏秋冬

こく、はく



「怖いんだ」





霙まじりの雨上がりの夜の公園は、冷たい空気に満ちていた。

切れかけた街頭の無機質な光が、さらに拍車をかける。

ブランコに腰掛けたサナの吐息も白い。


「俺は、怖いんだよ」


サナは黙っていた。

自販機で買った缶コーヒーに、ぬくもりを求めるように手の平で包み込んだ。


「怖いんだ」

サナに嫌われるのも、サナを失うのも。家から寿人の空気が無くなっていくのも、寿人のいない人生に慣れていくのも。

綺麗ではない、決して綺麗な人間ではない俺を、サナに知られるのも。


長い長い告白だった。

それでもサナは黙って聞いていた。

俺の思いを。

こんなにドロドロとして重い感情を。

ただ聞いていた。

冷たくなった缶コーヒーを握って。
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