春夏秋冬

忘れ物




梅雨があけて期末テストも終わり、本格的に夏が近づいてきた。



「…ない」

「机は?」

「ないです」

「カバンは?」

「ありません」

「もー、本当にどこにやっちゃったの?」

あたしは携帯を探していた。

放課後、帰る前になって無くしたことに気付いたのだ。

「とにかく、もう一度思いあたるところを探すのよ。わかった?」

「はーい…」

「頼りないなあ。あたしが手伝ってあげれたらよかったんだけど」

真実は今日、おじいさんのお見舞いに家族で行くことになっているのだそうだ。
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