春夏秋冬

お気に入りの場所





体中に響いていたエンジン音が止まった。


「着いたよ」


あたしは矢島悠斗に回していた腕をはずし、バイクから下りた。


「ここ?」


ヘルメットを外しながら矢島悠斗に尋ねる。


「そう」


矢島悠斗が伸ばした手にヘルメットを渡す。


「ありがとう」

「どういたしまして」


矢島悠斗がヘルメットをシートの中にしまった。


横には、岩のような斜面に押し寄せた木々。

反対側には少し高めの防波堤。

細い、それでも一応整備された道の、突き当たりだ。
< 29 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop