春夏秋冬

青い部屋




矢島悠斗の家に行ったのは、10月。小春日和というには少し暑い、とてもよく晴れた日だった。

待ち合わせの時間がいつもより少し早くて、二人で行った海岸が見事に直射日光にさらされてしまって、どうにもそこにいるのはキツイと二人で笑った。


「俺の家、来る?」


それはひどく自然に発せられた言葉だった。薄い唇は滑らかにその一言を紡いだ。


「いいの?」


あたしは、男の子の部屋に行くという少しのためらいと、家の人に迷惑ではないだろうかという思いからそう言った。ユウトの自然な一言に比べてなんだかとても不自然な答えに感じた。ユウトは何事もないように言った。


「サナが嫌じゃなければ」


あたしが頷くと、ユウトは岩から腰を上げた。




バイクの上で、ユウトから感じる熱は少し柔らかくなった。

夏はもっと熱いような気がしていたのだ。秋になって多少空気が冷たくなったからだろうか。それとも夏と違って私が温もりを求めているからだろうか。

どっちでもあるような気がしたし、どちらでもない気がした。
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