守るべきは・・・誰

☆☆再会


私は、輝さんの背中に
そっと手を当て
「輝さん、ありがとう。」
と、言うと
輝さんは、振り向き
「知り合い?」
と、訊ねたので
コクンと頷くと
心配そうな顔をしながら
私の横に移動してくれた。

私は、そんな輝さんを見上げ
輝さんに微笑むと
輝さんの顔が少し緩んだ。

輝さんの顔を見てから
目の前に立つ男性を見る。

当時より
4、5才、私より先に
進んでしまったような顔。

痩せて、髪の毛もボサボサ。

私と出会い
結婚して過ごしていた
陸から遠くはなれた
彼の容姿に、いささか
びっくりしながら

「······りく······」
と、言うと
輝さんが、私を見下ろす
私は、輝さんの顔を見上げて
頷く······

陸だって
決して低くない身長のはずだが
痩せて覇気のない陸は
スゴく小さく見え
輝さんが、とても大きく見えてしまう。

実際にも、輝さんの方が
大きいだろうが・・・・・

「やはり、結月だ。
ゆずは、かわらないね?
嫌、あの頃より綺麗になっている。
びっくりした···だろう···俺···?··」
と、言われて
「久しぶりだね。
春斗さんから聞いたよ。
大変だったね。
ごめんね、こんな言葉しかでなくて。」
と、言うと
「春斗さん?あっ、三樹さんの事か。」
と、言う陸に
「うん。春斗さんに
直接会ったわけではないけど。」
「紬ちゃんか?」
「うん。あっ、こちらは
庄内 輝さん。
会社の支店長なの。」
と、輝さんを紹介すると
「庄内 輝と申します。」
と、輝さんが名刺を陸に
差し出し、陸は慌てて
「すみません。
名刺を持ってきていなくて。
あおぞら銀行に務めています。
木原 陸と申します。」
と、陸が言い
二人は頭を下げた。

輝さんから
「結月、話があるなら
俺は席を外すが。」
と、言われて
「ううん。
私は、話しをする事はないから。」
と、言うと
「そうか。
なら、行こうか?
では、木原さん、失礼します。」
と、言って陸に頭を下げ
私の手を取り繋いで歩き始める輝さん。

私も
「じゃね、陸。お元気で。」
と、言い歩き始めると
「ゆず!話をさせてくれないか?」
と、陸に言われたが
私は、首を横にふりながら
「何の話があるのか
わからないけど。
全て終わった事です。失礼します。」
と、言う
「あの時の事を謝りたいし
心春から、結月あてに
手紙を預かっているんだ。
見てもらえないだろうか?」
と、私と輝さんの元にきて
伝える陸に
「今さら、謝られても
どうしょうもありません。
あなたは、あの時
私の話も何も聞いてはくれなかった。
今更ですよね。
それに、非道と思われるかも
しれませんが。
私が、その女性からの手紙を
読む必要はありません。
それでは。」
と、言うと
「まっ、待ってくれ。
俺が、結月にしたことは
最低な事だけど
心春は、心春は、違うんだ。」
と、言う陸に
私は、もうなんと言えばよいのか
わからなくなって
いた時に・・・・
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