【完】ボクと風俗嬢と琴の音
「やーごめん!待った~?!待たせてごめーん!」


「全然待ってないよ!
インスタ見てたし~」


ユカリと待ち合わせ。
珍しく飲みに行こうって話になった。
それは数日前からしていた約束だったけど
今朝ハルにそう言ったら、ハルもハルで今日は飲みに行く約束が入っていると言った。



’じゃあ、あたしが早めに帰るよ’


’いやいや、俺が早めに切り上げるから
琴子はゆっくりしておいで’


どちらが先に帰るか譲り合いをした。
琴音はこの間買ったばかりのキャットタワーのてっぺんで
わたし達のそんな会話を耳をひそめて聞いていた。




「琴子インスタやってったっけ?」


「やー、やってるってか
全然やってはいないよ~、興味のある投稿を見てるだけ」


「あたしもお店用にやってるよ~。どーゆーアカウント見てんの?」


「何かお洒落なお店とか…猫とか」


「えー柄じゃねぇー」


ユカリはげらげらと笑った。



ハルは山岡さんと仲良くやっているようで
何回か食事に行っている。
進展は、今のところなし。
いや、突然セックスしました!とか言われてもビビるけど。



もっぱらハルの店探しはわたしがしていて
インスタで検索することと言えば、猫の事か、お洒落なお店の事だ。


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