【完】ボクと風俗嬢と琴の音
13.晴人「秘密を抱えるのならば独りで」




13.晴人「秘密を抱えるのならば独りで」







クリスマスイブ。
12月24日。
どこに行っても街は混みあっていて
仲の良さそうな恋人たち、家族連れ、肩を寄せ合って歩く。
イルミネーション、クリスマスソング。どこか皆幸せそうで

そう
幸せそうに笑っていたんだ。


山岡さんが行きたいと言ったイルミネーションを見に行って
街をブラブラとして
東京の全く綺麗ではない海を見て
お洒落なカフェに入って、コーヒーを飲む。




今日の山岡さんはいつもより綺麗で
いつもよりよく笑っていた気がした。

ファーのついたベージュのコート。
ふわふわのワンピース。
淡いピンク色のバック。
華奢なヒールのついたブーツ。
彼女の身に着けるもの、少しの狂いもなく彼女によく似合っていた。
両耳から、お花のピアスがぶらさがっていて
彼女が動くたびにそれが揺れる。



彼女と過ごす時間は
1ミリの狂いのない幸せな時間なのだと思う。
そしてこんな彼女とクリスマスを過ごせる自分は、周りから見れば幸せ者なのだと思う。

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