【完】ボクと風俗嬢と琴の音
14.琴子「太陽が余りにも眩しすぎるから」




14.琴子「太陽が余りにも眩しすぎるから」








「はいこれ、1万円。
きちんと並んでよ?」

1万円を受け取った大輝は、明らかに嫌な顔をしていた。

「1万なんて……」

大輝は携帯を取り出し
どこかへ電話を掛けた。


「あ、もしもし今暇か?いま……」

大輝の携帯を取り上げて、無理やり通話ボタンを切った。

「何すんだっ」


「あなた、今会社の秘書に電話しようとしていたでしょう?
こういうものは自分で並ばないと駄目なのですっ」


「つっても……この人混み…」


「あ、開店した!
じゃあ大輝、きちんと指定してたお店に並んでよ?!
じゃあたしも行ってくるから!」


「おい、おーい、琴子!」




人並み。
人混み。
1月2日。
デパートは初売り。
福袋を求め、朝から混みあう店内。

大輝に遊びに誘われた。気まずくなるのも嫌だし、友達だし(あんな事途中までしてしまったけど)
好きなところに連れて行ってやるっていつもの調子で偉そうに言われたから、遠慮なく好きなところに連れてきてもらった。

遠慮なく連れてきてもらった1月2日のデパート。
お目当ては福袋。
嫌な顔をしていた大輝。何故俺が並ばなきゃいけない。と不服そうにしていた。
そりゃお坊ちゃまは、並ばない。こんな人混みに絶対並ばない。


< 361 / 611 >

この作品をシェア

pagetop