【完】ボクと風俗嬢と琴の音
19.晴人「遠い過去に想いを馳せようと」




19.晴人「遠い過去に想いを馳せようと」







5月に入って新緑はお生い茂り暖かい日が多くなってきた。
しかしとてここはコンクリートジャングル。
じりじりと太陽の熱がその熱さを燃やすがごとく、春の終わりを告げてくれた。


先日、俺は25歳になった。
誕生日は、琴子がお祝いしてくれた。とはいっても特別な事はしなかったわけだけど
いつもより少し豪勢な夕ご飯を作ってくれて、ケーキまで用意してくれて
そして感謝の気持ちだ、とネクタイをプレゼントしてくれた。琴音もお揃いだよ~と言って、新しい首輪を琴音にもプレゼントしてくれた。


何気ない1日だったけど
25年間生きてきた中で、その誕生日は特別な物になった。俺にとっては。
けれど誕生日数日前、気まずくなっていた俺たち。琴子から歩み寄って来てくれて、彼女は言ってくれた。




’ハルは特別な人だ’と。

そして

’お兄ちゃんのような’

って



そして何故か山岡さんとの恋を応援される始末。
それには苦笑いしか出来なかった。


告白もする前に失恋かよ。しかも相手は自分を兄のような存在としか見てくれていないとか…


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