【完】ボクと風俗嬢と琴の音
21.琴子「私とハルと琴の音」




21.琴子「私とハルと琴の音」








9月はまだまだ暑い。
なんなん、一体。
そしてこの家の天窓。初めは「ロマンチック~」なんてきゃぴきゃぴしていたけれど
星なんて、当たり前に見えない。視力が悪いせいもあるのかもしれないけれど、何といっても窓が高すぎるのだ。
そしてお昼はそこから直接日光が入り込んできて、暑いったら暑い。


携帯のアラームが朝を知らせる。
「あと…5分…」
そう言ってアラームを止めたらあっという間に時間は流れていく。
次に携帯を見た時、真っ青になって布団の中から飛び起きた。



「ヒィッ!」


アラームから、30分程経過していた。


1Rのこのアパートは、思っていたより住みずらい。
クレームを言える立場なんかじゃないけど
ロマンチックだと思えた天窓は光りが燦燦と入り込んできて、夏場はうだる暑さ。
冬になったら丁度良いのかもしれないけど、とにかく9月も終わりを迎えようとしているのに暑いったらない。
その上、壁がかなーり薄いらしく、隣の生活音はダダ洩れ。たまたますれ違ったお隣さんは20代前半くらいの派手髪の男だった。
そして夜中に鳴り響くベース音。きっと売れないバンドマンか何かなのだろう。
それにしてもうるさいったらない。何故にこういった人種は揃いも揃って夜型なのだろう。


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