【完】ボクと風俗嬢と琴の音
2.琴子「大きなあなたの柔らかい笑い」





2.琴子「大きなあなたの柔らかい笑い」






走り出した東京の繁華街の中で


風を切って、初夏の爽やかな香りが横切って行った。


握られた手は、わたしの手をすっぽりと包むほど大きくて、少しだけ汗ばんでいた。





きっかけは1週間前。
家を追い出されて、ユカリの家へ居候するようになって


しっかり者の彼女に管理をされながら、次に住む家を探そうと心に決めた。
今度こそちゃんとしなきゃ!!!…そんな矢先、誘われた合コン。



相手は、某有名お菓子メーカー勤務の人らしく
わたしとは全く違う世界に住む人種。




合コンなんて大嫌い。



お金を払っていくホストならば、こちらがお金を出すのだから劣等感なんて感じる必要はないけれど
名前から年齢、職業を話していく合コンになんか参加しても
風俗嬢なんてはっきり言ってしまえば場が凍るのは分かっていたし、かといって嘘をついてまで男にチヤホヤされようなんて思っちゃいない。



ユカリが、その会社で働く女の子と学生時代から友達らしく
女数が少ないから、と頼まれて
そしてわたしも参加する羽目になった。



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