メーティスの心
玲奈は、透に構わず池の様子を見つめていた。あまり綺麗とは言えない水だ。池の近くには山があるためか、葉っぱや細かいゴミがたくさん浮いている。水は濁り、底は見えない。

「さて、水を少しもらおうかしら」

玲奈はかばんの中からペットボトルを取り出し、濁った水を入れていく。

「水の中にいる寄生虫にはどんなものがいるんだ?」

透が訊ねると、玲奈は「そうね……」と少し考えた後口を開いた。

「ハリガネムシは聞いたことがある?」

「ああ。針金みたいに線状の体の寄生虫だろ?」

「ハリガネムシは水棲生物だから、水の中で過ごすことが多い。とは言っても、生態の全容は明らかになっていないんだけどね。ただ、この寄生虫は虫が寄生対象だ。だから、人間にはこれといった影響はない」

「寄生された虫はどうなるんだ?」

「寄生した虫を水の中に落とす。落とされた虫は溺死するか魚の餌になる。ハリガネムシがいる地域では、落ち葉の分解速度や藻の発生量など少なからず生態系に影響を与えているのよ」
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