【完】君に惚れた僕の負け。
「あつーい」
「さっきからそれ100万回聞いた」
「あ!朱里くん、海に行こう!」
「ふたりで?」
「どっちでも。誰か誘っていく?」
「いや、二人で行こ」
「やったぁ。あたし水着買ってくる」
花火の時間までに戻るから!
って突然楽しそうだけど。
「待って。水着はひとりじゃなくて、友達と選べば?」
「だって友達みんな日中は部活だもん。帰宅部のふうちゃんはバイトだと思うし」
そのおかしな選択肢はバイトがあろうとなかろうと最初っからねーんだよ。
「まじでひとりで選ぶの?」
水着を。恋々が。
「うん。……それだと、なんかダメ?」
可愛らしく首を傾げるとこ。そういうとこ。
か わ 。
あー、違う。そうじゃなくて。
「恋々の独断じゃ、絶対にダメ」
頭をよぎるのは、今まで目にしてしまった下着姿。
恋々の趣味、頭おかしそうじゃん。
お前無意識にとんでもない水着買ってくるだろ。