【完】君に惚れた僕の負け。
そう恋々はね、抜けてていいんだよ。


抜けててアホっぽい恋々のことが俺はずっと好きなの。



それにとなりにいるやつがアホなら、俺の“しっかり者”ってイメージが引き立つから、都合がいいの。


俺の実家に風呂を借りたあとの、帰り道。




恋々の隣で見上げる夜空と街並みは、昔とたいして変わらない。



小さいころ、歩けばたった5分のこの道を母親と並んで、しょっちゅう恋々に会いに行っていた。


幼少期の俺と恋々が遊ぶのはいつも公園かどちらかの家。


しかも、※ぜったいに母親同伴。



そんな頃家でのんびりとお茶する母親たちに、「恋々とふたりで遊びに行っていい?」と聞いたあの日。



それが、俺の人生初めての分岐点だったと思う。


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