大人になんて、ならないで。
「私は大丈夫だよ…!
それより、真矢くんはいいの?」
「なにが?」
「これからどこかに行く予定だったんじゃ…?」
「はぁ?」
上着も借りて、足止めさせるのも悪いと思って、気を利かせて言ったつもりなのに、
真矢くんには呆れた顔をされた。
「なんでそう思ったの?」
「会社の前に用事があるのかと…。
だからこの近くのお店とかに行くのかと…」
「マジで…バカだな」
はぁ、とため息をついて、
私のおでこをペシッと叩いた。
「いたっ!」
「めぐちゃんを迎えに来たんだよ。
わかんねぇ?普通」
……あぁ!
それで会社の前まで来たのか!