いちご
導かれるままに車に乗り込むと、運転席へ乗り込んだ慶兄が私のシートベルトを付けてくれた。
ただボーッと座席に座る私は、そんな事も忘れていた。
「あ…ごめ…ね」
だいぶ落ち着いた嗚咽も、泣きすぎて普通に話せない。口が回らなくて、何だか気が抜けてしまったようだった。
「ありがとう。が俺はいいな」
ニッコリと笑って見せた慶兄に、口元を持ち上げて笑って見せたが、きっと引きつったような笑いだろう。
それでも、慶兄は目を細めて頭を撫でてくれた。
「じゃ、行こうか」
座席に座り直してシートベルトをすると、エンジンをかけてゆっくりと車を発進させた。
車内では会話はなく、泣きすぎて腫れた瞼が重い。
きっと悲惨な顔をしているんだろうと安易に考えられたが、気にもならない。
引っ込んだと思われる涙は、まだ目の前を潤ませている。
緩みっぱなしの涙腺は、尚も視界を歪ませた。