僕の背後にナリスマシ
「昨日の配送で面白い話を聞いたぞ。イエローは この街を舞台にした妖怪の物語をマジ企画しているみたいだ。」
 周治の言葉に妙高は笑った。
「原作と言うか脚本は誰がやってんだ。」
「携帯かパソコン覗いてパクリだろ。」
「またいつものパターンか。八割方書いて止めとこう。仕事は段取り八分、執筆は入力八分。」
 妙高の頭の中ではすでに物語が出来上がっているのだろうが、どうやら最後まで仕上げるつもりはないらしい。
「イエローが今の会話を盗聴していたら怒り狂うだろうな。まぁイエローだけじゃなくてレッドやブルーも 言ってるぞ。〈この街はボランティアの街です。街を盛り上げる材料は無償で提供するべきです。〉ってな。」
 周治は言った。
「 と言う事はレッドとブルーもイエローに加担している訳か。やっぱ業界人だな。」
 妙高はレッド、ブルー、イエローが(つる)んで 妖怪大集結の企画しているのでは ないだろうかと疑った。周治も同意見だ。
「気に入らねぇな。地元のために作品を無償で使わせてくれと言うならまだ百歩譲れる。でも他人の作品を盗んで使用するって言うのはどういう了見だ。」
 周治はこれほど怒りを(あらわ)にする妙高を初めて見た。
< 22 / 22 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

好敵手~真実探求ハムカイザー

総文字数/21,517

ファンタジー30ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
 物事には裏と表があり、人生にも光と影があります。正史は表の歴史、でも裏の歴史もあります。  少しだけですが地元の逸話や伝承を自分なりの解釈で拾って書いたりもしています。
那須大八郎~椎葉の『鶴富姫伝説』~

総文字数/15,528

歴史・時代21ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
 宮崎県の椎葉村に『鶴富伝説』と言う話があります。  ヒロインはもちろん鶴富姫ですがお相手の那須大八郎とは一体何者なのか。宮崎県人の私としてはそれなりに想像を巡らせて見ました。  『大八郎』なる物語も書いていますが、そちらは『那須大八郎演義』かなと。
魔女は天使の声色で囁く

総文字数/24,960

恋愛(純愛)35ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
 執筆が趣味の興梠修一郎はリサイクルショップ巡りが趣味である。そしていつも弁当を買うスーパーのレジで気になる女性と気になる女性と話すようになった。  その女性は修一郎にとって天使なのかはたまた魔女なのか。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop