腕の中の静けさは・・・
「みんなで昼飯食いに外出たんだ。」

何も言わないオレを確認するとまた話し出す。








「オレさ今回の出張、実は心配してたんだ。ソウル、、、おまえ達がいた頃とずいぶん変わってたからな」

「ああ・・・」


「でもさ、アマネ、、あんなだろ?」

「あんなって、(笑)」





少し笑ったオレにホッとしたようなウビンの顔。





「顔ぶれ一掃してるし大変かなって思ってたけど、やっぱりアイツのこと、(笑)
まったく時間かからなかった。」

「・・・ふっ(笑)」









「後輩達に囲まれながら楽しそうに外に出て大通りの交差点信号待ってたんだ」






「ん」



「オレは天音たちの二列後ろにいてな、少し前の親子に目が行ってた。そしたら天音も後輩達の話に耳を傾けながらその親子を気にしてた」






「・・・・・」


「小さな女の子を抱っこひもで抱えて、反対側の手で男の子と手を繋いでた」


「ん・・・」









「その子が意外にもやんちゃっぽくてママの言うこと聞かなくてさ、しかも長い信号に飽き飽きしてたんだろうな・・・・」





ゴクン・・・

喉が鳴る。






「だんだん動きが大きくなってさ、、ママの声も大きくなって、、シオン!って」

「え?」




「ん、その子の名前シオンくんって・・・」

「そぉ・・・」

「もちろん天音もオレも即反応してお互い顔見合わせたよ。でもオマエんとこのシオンとは大違いで本当にやんちゃでさ、内心冷や冷やしてたんだ、オレ。たぶんアマネも同じだったんだろうな・・・」



「ん・・・きっと」

「ん、だから一層その親子が気になって目が離せなくなってさ、と、同時に天音のことも気になりだして・・・・天音のそばに行こうとして少し動き出した瞬間だったんだ。」





ウビンと視線が初めて真っ直ぐ合う。









「その子の動きが大きくなって繋がれていた手が離れて道路に投げ出された」





「・・・・・・」



「その子を呼ぶママの声と、あぶない!って言うアマネの声と、アマネを呼ぶオレの声が重なったと同時に前に飛び出したけど間に合わなかった・・・
ユソンすまない!オレがもっと早くアイツのそばに行ってたら!!!そしたらアイツを止められたはずなのに!!!ユソン!!本当にすまない!!!!!」







何度も何度も拳を叩きつけオレに謝るウビンを抱きしめた。









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