腕の中の静けさは・・・
「奥様の思い。ご主人を大切に思うあまりのことだと思うんです。自分も大変な状況なのにご主人のことを思う奥様のお気持ち、、不謹慎かもしれませんが、今のご主人といいお互いを思いやるお気持ちのおふたりがとてもうらやましく思ってしまいます・・・すみません。」

「いえ、、ありがとうございます。聞ける機会があったら聞いてみます。ボクも気になるので(笑)」

「そうですね、そうしてあげてください。バレてた、なんて知ったら奥様のお気持ちも和らぐのではって(笑)」

「そうかもしれません。でも怒ってやります(笑)」




「そのときはボクも医者として文句を言いたいので是非立ち合わせてください(笑)」
なんて冗談を言った先生が次に口にしたのはこれからのこと。



「途中で話しがそれてしまいました」って笑う先生。




車イスの練習を早くしたいと願い出たという。
絶対アメリカに、、家族が待つアメリカに帰りたいと遠くを見つめたと。


「奥様には様子をみて始めましょうとお伝えはしました。」

「と、いうと?」

「はい、、今の現状ではまだそういう段階ではないと言った方が・・・」

「そうですか」

「お腹のお子様のことを考えるとまだ無理があります。元気には見えます。
あ、元気なことは間違いないんですが絶対安静は解除できないって言うのが現状です。すみません」

「そんな、こんなにもよくして頂いているのに謝らないでください。」

「でもお子様のためにも早く車イスにって思いもわかるので・・・」

「彼女もわかっていると思います。まだまだムリだって、、、ですから先生そんな顔しないで下さい」





それからの日々は本当に穏やかな毎日で・・・



子供たちは毎日早起きして一旦病院に顔を出して「行ってきます」って
天音に言ってから学校へ向かう。


行ったり来たりのオレはけっこう大変なんすけどね(笑)

送り迎えを考えて車も買った。



天音も毎日楽しそうで笑顔が増えていった。





そんな生活が半月ほど過ぎた頃、アメリカからアボジとオモニがソウルに来てくれると言うので
空港まで迎えに行く。









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