満月の夜異世界へと繋がりました
みっ……美結…!
美結…


誰かがあたしの名を呼ぶ
割れるような頭の痛さが駆け巡る中聞こえたのは王子の切なそうな声

あたし本当に今から王子と?
冷静になるのよ美結!落ち着いて!

「美結…怖いか?」

「ううん、だっ…大丈夫」


「やめるなら今しかないぞ、途中でやめろって言われても俺は無理だからな」


王子の言葉に黙って再び頷く
不思議と怖くはなかった
何故だがわからないけど…
とにかくこの痛みを早く取り去って欲しい!この時のあたしはその思いしかなくて…


王子の手が唇がそっと触れる
身体中が熱くて溶けそう
不思議な感覚があたしの身体を駆け巡る、触れられる度に痛みとは違う
感覚があたしを襲う

唇を重ねるたびに全身が真っ白になって…

「はっ…んんっ!」

「美結…美結…好きだ!もう離さない」

王子があたしの耳元で囁く
答えにならなかったのは重ねた唇が
熱くて堪らなかったから…
瞬間身体が半分になるかのような痛みが全身を走り抜けた



目を開けると目の前の王子が微笑み優しく触れるようなキスがあたしを包んでいた


「まだ痛いか?」

「まだちょっと痛いけど大丈夫」


「大丈夫って…痛いのはどっちだ?頭のほうか?それとも…」


「頭痛は大丈夫…」


「そうか…良かった」



再び抱きしめる王子の横顔が可愛くて頬にそっとキスをした
あたし…王子と本当に?
ひゃあああっ!!
声にならない声を出すあたしに王子はふっと柔らかな笑みを浮かべる
この笑顔が好き…
瞬間そう思った、あぁ~あたしってやっぱり好きなんだ!好きだから呪いを解く為とは言え抱かれるのが嫌じゃなかったんだ!そうなんだ!

「王子…あのね…」


「……ん?」


「……大好き」


自然と呟く自分に驚いている自分自身がいた。





































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