満月の夜異世界へと繋がりました
「エリー程々にしときなよ!何かあったらあたしが怒られるんだからね!」


「わかったよ、ばあや!それはそうと頼んどいたもの今日はあるんだろうね?」


「ほらよ!!あんまり飲みすぎるんじゃないよ」


彼女は、あたしにパンを渡してくれたおばあさんから渡された瓶を受け取ると大事そうに受け取った
コルクを勢いよく抜くとそのままゴクリと飲んでいく、おそらく酒であろう飲み物をある程度まで飲むと羽交い締めされたままのあたしに向かってニヤリと微笑む
な、何する気?!
その意味深な笑みは何なの?
そう思ったのもつかの間彼女は再び酒を口に含むとあたしの顔に向かって酒を吐き出した

な!な……何?!
あたしは何でこんな目にあってるの?
訳がわからぬままただ呆然とする
ニヤニヤ不敵な笑みを浮かべる彼女
再び酒を煽るように飲み干すと射抜くような瞳をあたしに向けてきた

「あんた何者だ?」

「え?!あ、あたしは…「さっき悪女ってばあやが言ってたけどあんたいったい何やらかしたんだい?」


「そ、そんなことよりあの…王子様の容態がどうなったか知りませんか?」


「王子?今、王子様って言ったか?そんなことここに居るあたしらが知る訳がない!馬鹿も休み休み言いな!ってもしかしてあんた……」


「な、何ですか?!」


「おい!みんな離してやりな!!」


彼女の一言で羽交い締めされていた身体の拘束が解かれる
じんわりと汗が浮かぶ
多分今は昼なんだろうか
それとも夜なのか
格子窓に目を向けると薄っすらと日が差しているから昼なのかな
それよりも王子の容態は?今はどんな状態なんだろ
そんなあたしの耳に聞こえて来た目の前の彼女の言葉

「あんたも飲みな!」


「え、あたしお酒は……「この世で飲む最後の酒なんだ、遠慮しなくていい」


最後?!

最後って……


「王族に毒でももってしくじったんだろ?馬鹿だね王族に仇なす者は極刑に決まってるじゃないか、知らなかったのかい」

「第2牢、通称地の牢って言われてるここに来たら最後生きて帰った者は未だかつてひとりも居ない」


彼女の言葉に身体が凍りついた







< 112 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop