愛され女子の激甘コレクション
「ほら、本物にしか見えないでしょう?お似合いですよぉ」

営業スマイルの美容師さんの言葉は正しくて、ついさっきまでショートだった私は誰が見ても本物のロングヘアだ。
今時のエクステってすごいのね。
お財布には痛かったけど、これなら満足。

「メイクはしっかり、特にこれ消して下さい」
右目の下を指差す。
特徴的だと言われる涙ぼくろとは、今日はさよなら。

頭のてっぺんから足の先まで抜かりはない。
7センチのヒールで歩く練習は万全だし、普段は絶対に着ないミニワンピースだって恥ずかしくなんてない。
このために新しいスマホまで用意したんだから。

あの人がいつも通っているクラブの前で待ち伏せ。ちょうど一人で出てきた彼に、私は声をかけた。

「あのぉ、良かったら一緒に飲みに行きませんか?」

幸い結構酔っ払ってるみたい。

私にチラリと目を向けただけで「こんな可愛い子に誘われるとか、今日はラッキー。マジでいいの?」と肩に手を回してきた。
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