愛され女子の激甘コレクション
6月。
「ねぇー、和葵<かずき>くーん」
精一杯甘えた声を出したのに、彼は夢の世界から帰ってきてはくれない。

「 つまんないよ」
つぶやいて、棚から少女漫画を取り上げる。 キスしたり抱き合ったりの甘いシーンを見ていると…… 虚しい。

隣に大好きな彼がいるっていうのに、 私はキスすらもしてもらえてない。

恨めしそうに もう一度和葵くんの寝顔を覗き込む。長いまつげが揺れて、ちょっと口を尖らせてる。

どんな夢見てるの?

愛しくてほっぺをつねってみたけれど、ピクリとも動かない。

1週間ぶりに会った上に、先週は女の子の日だったから激しく求められるかもなんて期待してた。

練習で疲れてるのは重々承知だけど、シャワーを浴びてる間に寝ちゃうなんてひどいよ。

こんなに、和葵くんに 触れてほしいのに。
< 78 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop