極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
 俺の隣で未来ちゃんが元気よく首を縦に振ると、文香がふふっと笑顔になる。

「未来、結貴の言うことを聞いておりこうにするんだよ。わがままを言って困らせちゃだめだからね」
「はぁい!」

 ぴんと手を上げてお返事をした未来ちゃんを見て、ようやく文香は玄関を出ていった。

                 
 今日は文香の二十七歳の誕生日。
 
 俺は未来ちゃんとこっそりパーティーを計画した。
 
 そのために、おじいさまにも協力をお願いし、『文香とふたりで話をしたいから、未来は結貴さんに預けて病院にきてもらえないか』と呼び出してもらったのだ。
 
 俺達は文香が留守の隙に部屋を飾り付け料理をする。
 そして彼女が返ってきたときにサプライズでパーティーを開く予定だ。
 
 彼女はそんな俺たちの計画に気付くどころか、今日が自分の誕生日だということもすっかり忘れているようだった。
 
 窓から文香の後ろ姿が遠ざかっていくのを確認して、未来ちゃんと顔を合わせる。

「さ、急いで準備しようか」
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