極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
 結貴に驚いたような表情で見られ、頬がじわりと熱くなる。

「未来もそう言ってるし、せっかくこんな素敵な誕生日を準備してくれたんだし、結貴がイヤじゃなかったら」

 うつむきがちに言い訳すると、結貴は甘く微笑んだ。

「じゃあ、セルフタイマーで撮ろうか」

 スマホのタイマーをセットしてテーブルの上に置く。
 未来を真ん中に後ろに私と結貴が並んでカメラの方を見た。
 
 写真にきちんと納まるように寄り添うと、結貴の肩と私の肩が触れた。
 洋服越しに彼の体温が伝わってきて鼓動が速くなる。
 
 私の心臓の音が結貴にまで聞こえているんだろうか。
 
 彼の視線が私に向けられているのがわかる。
 頬がじわじわと熱くなる。
 
 耳もとで「文香」と名前を呼ばれた。
 反射的に結貴を振り返ると、一瞬だけ唇をふさがれた。
 
 錯覚かと思うほど短い、触れるだけのキス。
 
 けれど、その一瞬だけで私の体はとろけてしまいそうなくらい熱くなっていた。
 
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