極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
「でも、私は未来の父親のことを……」

 愛しているの、と続けようとしたけれど、途中で長い指に唇をふさがれそれ以上言葉にできなかった。
 視線を隣に向けると、真剣な表情の結貴に見つめられ息を飲む。

「それでもいい。未来ちゃんの父親を愛したままの文香を支えたい」

 ほかの人を愛している私を支えたいなんて。
 どうしてそんなことが言えるんだろう。
  
 もし自分が反対の立場だったら……。
 想像するだけで、嫉妬で胸が焦げそうになる。

「でも……」

 顔をしかめると、唇をふさいでいた指が移動した。
 大切なものを慈しむような手つきで、私の頬をそっとなでる。

「おじいさまが入院中で、文香ひとりで未来ちゃんの面倒を見るのは限界があるだろ?」

 迷う私に結貴が続ける。

「もし文香が具合悪くなって倒れたら? もし災害や不測の事態が起こって離れ離れになったら? 万が一のときに頼れる人はひとりでも多い方がいいだろ」
「でも、甘えられないよ。私は結貴の気持ちにこたえることができないから」
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