極秘出産のはずが、過保護な御曹司に愛育されています
           

 病室を出た結貴と未来は、手を繋ぎながら楽しそうに廊下を歩く。

「未来ちゃん、なにか食べたいものある?」
「ええとねぇ」

 そんな会話をするふたりに私は慌てて声をかけた。

「結貴、こうやっていつもごちそうになるわけにはいかないから」

 結貴とホテルで食事をしてからというもの、毎週のように祖父の病院で会いそのまま一緒に食事をしている。
 もちろんお金を出してくれるのは結貴だ。
 
 シングルマザーの私と葉山製薬の副社長とじゃ持っているお金は桁違いだとはいえ、申し訳ない。

「毎週のように私たちと過ごして時間を使わせるのも悪いし……」

 私がそう言うと、未来の眉が下がった。

「ゆうきさんと、いっしょにごはん食べちゃダメなの……?」
 
 大好きなケーキを取り上げられたかのようなしょんぼりした表情で見つめられ、言葉につまる。

「ダメ、なわけじゃないけど……」

 先週は食事だけじゃなく、結貴は私たちを水族館に連れていってくれた。
 
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