読めないあなたに小説を。
知られてしまった秘密





恵弥くんの隣の席になって、2週間が過ぎた。


あれから私は、なんとなく教室に登校出来ている。


慣れない空間にいることは苦痛で、
いつもクタクタになって帰宅している。


恵弥くんとは、あれからあんまり喋っていない。


私が「おはよう」と声をかけても、彼は答えてくれないし、
話題も見つからないので何故か話しかけられない。


せっかく彼の良さが分かったのに、
なかなか彼に近付けないでいた。




学校での恵弥くんは、とても活発。
人と慣れ合うのはあんまり好きじゃないみたいだけれど、
それなりに友達とはしゃぐことも多い。


バカなことをしては笑って過ごしている。


あの笑顔は私だけが知っているわけじゃないんだと知った時は
何故かショックだったけど、
恵弥くんが笑っていられるのはいいことだと思った。




私の苦手なスポーツテストも無事に終わって、
みんなようやく落ち着いた生活に切り替えていく中、
また新たなイベントが発生しようとしていた。


「えー、去年様々な理由から中止になって
 出来なかった合宿を決行することになった。
 今からグループ分けをしてもらう。
 先生、クジを作って来たから順番に引けよ」


合宿とは、みんなが親交を深めるために計画されたもので、
2泊3日するらしい。


家を離れてみんなと3日も一緒にいるなんて
考えただけでもゾッとする。


私、合宿中ちゃんとみんなと仲良く出来るのかな。


その前にグループ決めだ。
クジってことは誰となるか分からないってこと。


まあ、好きなように決めろって言われても
あぶれてしまうからクジの方がマシなんだけど。


グループは男女2人ずつの4人で形成される。
誰とも仲良くない私は、一体どうすればいいのだろうか。


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