ツイてない女子は王子に求婚される!!
「ま、待て!!まだ菜乃花ちゃんが!!菜乃花ちゃん!!」

ストーカーはそう叫びながら、穴の中に吸い込まれていった。その穴はストーカーを吸い込んだ刹那、消えてしまう。すると空はまた青空に戻った。

「……これで、無事に終わったな」

クーガーが菜乃花の方を向く。その頰からはまだ血が出ていた。菜乃花は慌ててハンカチを取り出し、傷口に当てる。

「守ってくださり、ありがとうございます。私のせいで、こんなお怪我を……」

体を震わせる菜乃花に、「大丈夫。ただのかすり傷だ」とクーガーは優しく菜乃花の手に自分の手を重ねる。

菜乃花の目から、涙がこぼれ落ちた。



ストーカーが連れてきた黒い森は、王宮からかなり離れていた。仕方なく、菜乃花とクーガーは日が暮れるまで馬車で王宮に戻る道を進み、夜は宿に泊まることとなった。

「すまない。こんな狭いところで……」

「いえ、大丈夫です。泊めていただいただけでもありがたいです」
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