例えば、こんな始まり方
「腹減った。なにかおごって」

「なんで、私が?」

「袖すり合うも多生の縁っていうだろ?」

「どこに縁があるのよ?」

「倒れたら、君がいた」

「っっっ・・・!」

「お願いします。朝から何も食ってないんだ」

真っ直ぐな瞳が私を見つめる。誰かに似ていると思ったら、昔飼っていたミニチュアダックスフンドのロッキーにそっくりだ、と思ったのはその茶色の無造作な髪とくりくりした瞳のせいかもしれない。

「分かった、分かったわ」

「やったー!助かった!」

無邪気に喜ぶ青年。二人でコンビニに入って、私がパスタを選んでいると

「僕もパスタがいいな!」

「ちょっ・・・ここ、イートインコーナー、ないわよ」

「君の家で食べたい」

「どこまで図々しいの?」

「僕のこと、放っておけないって思っただろ?お願い!君しか頼る人がいないんだ」

もう・・・仕方ないなぁ

ロッキーには逆らえない。

結局、二人で私のアパートに入ったのだった。

「きれいにしてるね」

キョロキョロと部屋を見回す青年。ワンルームだが、10畳で、実は二年前まで恋人の崇と一緒に住んでいた。
< 2 / 39 >

この作品をシェア

pagetop