With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
「マネージャー志望の子は、本当に大歓迎だよ。だけど、これだけは言っておかなきゃならない。グラウンドを見てて、気付いてるかもしれないが、実は我が部は現在、マネ-ジャ-が不在なんだ。」


「えっ?」


キャプテンの言葉に、私は驚く。そう言われれば、確かに見渡しても、女子マネの姿がないことに今更ながら気付く。


「君にとって、やり易い環境とは、お世辞にも言えない状況なんだ。それでも一緒にやってくれるかな?」


そのキャプテンの言葉に、久保くんが心配そうに私を見る。だけど、私の中に迷いは全くなかった。


「はい、是非よろしくお願いします。」


そう言って私が頭を下げると、キャプテンは嬉しそうに笑った。


「そうか。じゃ、是非こちらこそ、よろしくな。」


「はい。1年C組の木本みどりです、よろしくお願いします。」


「同じく久保創です、よろしくお願いします。」


「西です。こちらが石原友良(いしはらともよし)監督だ。」


紹介されて、ペコリと頭を下げる私達に、監督は柔和な笑みを向けてくれる。


「木本、久保、よろしくな。2人共C組じゃ、松本(まつもと)と同じだな。」


「はい、見覚えあるって思ってました。」


「クラスメイト同士でちょうどいい。今日は3人とも、ゆっくり練習を見学してってくれ。詳しいことは明日、俺と西から話す。じゃ、明日から頼むぞ。」


「はい。」


私達の返事を聞くと、監督とキャプテンは選手達の方に歩いて行く。残された私達は改めて顔を見合わせると


「松本くん、一応初めましてだよね。木本みどりです、これからよろしくお願いします。」


「松本省吾です。木本さん、久保くん、一緒に頑張ろうな。」


爽やかな長身のイケメン、そんな印象の松本くんは、話し方も爽やかだった。


同じ教室で、既に2日間過ごしてはいたけど、これが私と松本くんの実質初めての出会いだった。
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