グレーとクロの世界で
「そう言えば、夏音の隣の人来ないね。もうすぐチャイム鳴るのに。」
「本田って言う人らしいよ。まぁ
私には関係ないけど。」
そう、関係ない
私は誰かと馴れ合うのが好きじゃない
というか嫌い
香澄は無駄に詮索してこないから一緒にいるだけ
友達なのかもよく分からない
最低だって思うでしょ?
でも、それが一番いい方法なの
その理由はそのうち分かるわ
ガラガラ
「おっ、凪斗おはよー。」
「おはようございます。」
チャイムギリギリに教室に入ってきたのは、女子が好きそうなイケメン男子
声をかけた男の子は、金髪に近い茶髪でピアスを付けていて、いかにもチャラい感じ
今入ってきた人は、短い黒髪に制服を軽く着崩した、イケメンくん
既に何人かの女子は目をハートにしてキャッキャと騒いでいる
そんな女子達に目もくれず、クラスの一人の男子と挨拶を交わしている
どうやら、知り合いらしい
私たちの方に歩いてくるところを見ると、この人が本田くんなんだろう
あー、面倒くさそうなのが隣になったな
「ねぇ、夏音。あの人が本田くんじゃない?ほら、こっち来た。」
予想的中
私の隣の席に荷物を下ろし、静かに席に着いた
隣の席の私が気に食わないのか、女子達に睨まれている気がする
私だってこんな席嫌よ
誰か変わって欲しいくらい
「夏音は美人だから、みんな妬んでるのね。」
後ろの香澄は訳の分からないこと言ってるし、未だに女子の視線が痛い
「なぁ、凪斗。今日も行くのか?俺サボっていい?」
「当たり前。サボったらあとからどうなっても知りませんよ?」
さっきの男子は知り合いどころか、親しい仲らしい
でも、なんで敬語?
なんか、この本田くんから独特なオーラを感じるのは気のせいかな?
なんというか、人を惹きつける感じ
見た目もあるせいか、初日から無駄に目立っている
私だったら耐えられないけど、本田くんはきっと慣れているのだろう
「夏音、なんだかこれから大変になりそうだね。」
「そうね。」
めんどくさい事にならなきゃいいけど
キーンコーンカーンコーン
「じゃ、また後でな。」
チャイムがなった瞬間、本田くんと親しそうに話していた男子は自分の席に戻って行った