リボン~もう1度君に、プロポーズ~
「この、男の子は…?」

乙國さんが雪穂さんの隣にいる大晴に視線を向けた。

「先ほど申しあげた、私と周晴さんの子供です」

私は乙國さんの質問に答えた。

「大晴、あなたのおじいちゃんよ」

私は大晴に言った。

大晴は乙國さんを見つめると、
「おじいちゃん?」
と、言った。

その瞬間、乙國さんの目から涙がこぼれ落ちた。

「――お名前は…君の、お名前は…何て言うの…?」

乙國さんは大晴に声をかけた。

「田渕大晴、4歳!」

大晴は笑顔で自分の名前を言うと、4にしたその手を乙國さんに見せた。

「――大晴くん、か…いい、名前だね…」

乙國さんは泣きながら、だけども大晴に微笑みかけた。

「おじいちゃん」

大晴に呼ばれて笑いかけられたことに、乙國さんはさらに涙を流した。
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