桜が散ったら、君に99回目のキスを。
『本日もご乗車頂きまして誠にありがとうございます。この電車は───』


動き出した電車に身を任せて、熱くなった頬を両手で抑える。


“また”があるんだ。


次を期待していいんだ。


それがこんなにも嬉しいなんて。


緩む頬を隠すように俯いて、ふと気がつく。


「あ……これで分かったのか」


高校指定のスクールバックの側面。


『1-B 2-B 鳴宮円依』


目立つのは嫌だからとささやかな文字で書いたクラスと名前が、思わぬ所で役に立ったらしい。


また、小さな微笑みが零れる。


光が差し込む電車の中には、もう桜の季節がやってきていた。
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