やっぱりあなたと ~クールな上司は強がりな部下を溺愛する~
『頑張れ。莉緒。頑張れ。』

その声に莉緒の震えていた体も、心も震えがピタリと止まった。

『莉緒。頑張れ。』
「はい。ありがとうございます。頑張ります。」
莉緒が目を開ける。

『連絡待ってる。何時になったっていい。連絡待ってるから。頑張ってこい!』
電話の向こうで和哉が微笑んでいるのが莉緒には見えるような気がした。
「はい!行ってきます」
『おう!行ってこい!』

莉緒は通話を切ると、携帯電話を胸に抱き、レストランの扉を開けた。


電話の向こう。まだ会社にいた和哉は、誰もいない廊下で連絡をしていた。
和哉は切れた電話をギュッと握り、ポケットにしまった。
そして小さな声で「頑張れ」とつぶやいた。
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