やっぱりあなたと ~クールな上司は強がりな部下を溺愛する~
「笑うな。」
「ごめんなさい」
「・・・これがこうで、次がこれか・・・」
またすぐに何かを言い始める和哉に莉緒は微笑みながらその様子を見つめていた。

和哉は、メイク落とし用のシートを手にして、ワイシャツの袖を腕まくりし、莉緒の顔を真剣に見つめていた。
「行くぞ」
「はい」
すべてを任せようと、莉緒が目を閉じる。
和哉はそっと優しく莉緒の顔に触れながらメイクを落としていった。
「うわー。緊張すんなこれ」
かなり優しいタッチ。
時々触れる和哉の手が熱い。

莉緒は自分を大切に大切にしてくれる和哉の気持ちが伝わり、くすぐったいほどにうれしかった。

「痛くないか?しみないか?」
「大丈夫です」
「よかった」
少しずつ慣れて来た和哉。莉緒が少し目を開けると、自分を見つめる和哉の瞳があまりにも温かくて涙が出そうなくらい幸せを感じた。
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