やっぱりあなたと ~クールな上司は強がりな部下を溺愛する~
「じゃあ、体冷えるといけないから。お休み。」
和哉が莉緒の体を気遣って、立ち去ろうとする。

その背中と、今日見た夢がリンクしてしまった莉緒は和哉の服をつかんでいた。

伸ばした莉緒の手はちゃんと和哉の服をつかむことができ、すぐに和哉が振り返る。

「ん?」
自分の服をつかむ莉緒に気づいた和哉は、自分の服をつかんだ莉緒の手を大きな手で握り莉緒に近づいた。
「どうした?」
莉緒は何も言わずに和哉の胸に頭をこつんとつける。

「ばか。せっかく覚悟決めてかっこよく潔く帰ろうっていう俺の努力知ってるか?」
和哉はそう言いながらも嬉しそうに莉緒の背中に両手をまわす。
莉緒の体が冷えないように、その背中をさすった。

少しして、和哉は莉緒から体を少し離して莉緒の顔を見た。
「だめだ。俺の理性は吹っ飛んだ。今すぐ荷造りして。」
和哉の言葉に一瞬戸惑った莉緒。でも、一人で夜をこす寂しさよりも、和哉に甘えて一緒に過ごしたいと頷いた。
< 356 / 413 >

この作品をシェア

pagetop