堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~

「ぜひ購入したいんだが、色が五色ある」
「ちょっと早くないですか? まだ性別もわかってないんですから」
「そうか……。じゃ、こっちの食器セットは?」
「それもやっぱり、性別によってピンクか青かを決めたくないですか?」

 そう指摘すると、志門さんはしょんぼりしてため息をつく。我が子の誕生が待ち遠しすぎて若干空回り気味の彼が、なんだかかわいいな。

  私はちょっとした出来心で、また別のベビー用品のサイトをぼんやり見始める彼の頬に、自分からキスをしてみた。志門さんは微笑みながら私の方を振り向き「どうしたの?」と尋ねる。

「いえ……特に深い意味はありません」

 欲求不満がばれたら恥ずかしすぎるのでそう言って軽く笑うと、彼はパソコンをパタンと閉じてサイドテーブルに置いた。

 そして、静かに私を見つめながら、布団の上にある私の手を包み込むように握って、ぽつりと呟く。

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