愛を贈りたいから〜これからもずっと〜
翌日はレンタカーを借りて、2人で島内巡り。ほとんど手つかずで残されている自然を満喫した。


もっともその途中で、「御休憩」が入ったことは、一応ナイショと言うことで・・・。


そして、空港まで送ってもらうと、おばさんと加奈が待っていた。


「どう、2人の時間を満喫出来た?」


途端に、浴びせられるおばさんからの意味深な言葉。その横で、なぜか顔を赤らめてる加奈。


「ああ、まぁな。」


平静を装って答える聡志の横で、やっぱり顔が赤くなるのを抑えられない私。モロバレでしたか、やっぱり・・・。


そして、これが学生として、聡志と会った最後の機会となった。


沖縄行きから約ひと月後、私は無事卒業式を迎えた。袴に身を包み、卒業証書を手にした私は、クラス、サークル、ゼミと4年間の大学生活で得た多くの仲間達と別れを惜しみ、いずれの再会を誓い合った。


気の合った仲間と飲み、騒ぎ、そしてお互いにエールを交わし合い、家に帰り着いた時、日付は既に変わっていた。


こんな時間に帰ったにも関わらず、両親は待っていてくれて、私の卒業を祝ってくれた。私はこれまでの両親の愛情に、心からの感謝を述べた。両親の目には涙が光り、普段はあまり泣くことのない私も、この時は涙した。


この日は聡志も卒業式で、チームを抜けて、式に参加していた。もっともとんぼ返りですぐに戻らなければならなかったから、会うことなど全く叶わず、袴姿と学ラン姿の写メを交換して、互いの卒業を祝い、またエールを贈り合った。


そして、それから更に約半月後。桜の花も既に舞い散った4月1日、聡志に遅れること3ヶ月、私も遂に社会人としてのスタートを切った。
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