愛を贈りたいから〜これからもずっと〜
「行ってきます!」


私は元気よく、家を出た・・・って言うと、なんとなく聞こえはいいけど、要は寝坊しちゃって、慌てて飛び出したっていうこと。


満員電車に揺られること、1時間余り。私が必死になって、オフィスに駆け込むと


「おはよう。」


と声を掛かる。同期の進藤美優(しんどうみゆ)だ。


「まだみなさん、来てない?」


肩で息をしながら聞くと


平賀(ひらが)さん以外は。」


「えっ、今日も負け・・・?」


私がガックリと肩を落とすと


「勝てるわけないよ、どうも昨日泊まりだったみたいだし。」


「そうなんだ。」


美優の答えに、私が頷いてると、またバタバタと足音がして来たと思うと、ドアがバタンと開く。


「おはよう!」


「遅い!」


飛び込んで来た男子に、美優の一喝が。


「ゴメン。でも、どうせ岩武も俺のちょっと前だろ?来たの」


「なに、どうせって?」


私が言うと


「違うのかよ?」


「・・・違わない。」


その瞬間、吹き出した美優が


「つまり、今日も五十歩百歩ってこと。それより早く二人とも手伝ってよ。」


「ヘイ、かしこまり〜。」


と言って、掃除用具入れからモップを取り出したのは、やはり同期の野村隼人(のむらはやと)


私達3人は、こうして手分けしてオフィスの清掃をして、先輩達が出勤して来るのを待ち受けるのが、毎日の慣例となっている。


もっとも真面目な美優はいつも約束の時間通りだけど、朝が苦手な私とノムは遅れて来ては、お互いの寝坊をディスり合ってる。


今年の我が社の新入社員は、私達3人だけ。事前研修で知り合って、あっと言う間に仲良くなって、まるで昔からの友達のように、ワイワイおしゃべりしながら、今朝も掃除をしていると、ガチャリと別室に通じる扉が開いた。
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