愛を贈りたいから〜これからもずっと〜
入社してから、あっと言う間に、ひと月が過ぎようとしている。GWはもう目の前。


この日も私達新入社員は定時上がり。


「ま、GW明けからは、こういうわけにはなかなかいかなくなるから、今のうちにアフター5は羽伸ばしとけ。」


そんなことを言って、笑う先輩達。みなさん、本当に気さくで優しくて、仕事も嫌な顔をすることなく、懇切丁寧に指導してくれる。


私達は、つくづくいい会社に就職したね、なんて3人で話してる。


「どうする、ちょっと呑んで行かない?」


と誘う私に


「もちろん。」


と二つ返事の美優とノム。私達は、もうすっかり行きつけになった、会社近くの居酒屋へ入る。


注文も終わり、ビールで乾杯した私達は、まずは今日の出来事を話し合う。狭いオフィス、少人数の会社だけど、私達は担当が違うから、お互いに今日、どんなことがあったかは当然、全部はわからない。


そんな話題をひとしきりしたあと


「そう言えば、あれから彼氏さん、登板ないね。」


と美優。私達は既にお互いの恋愛事情も打ち明け済み。私の彼氏がルーキーのプロ野球選手で幼なじみであることも話した。


野球に全く興味のなかった美優は、それを聞いてから、聡志の成績やニュースはチェックするようになったと笑う。


「うん。月末の神奈川遠征のメンバーにも選ばれなかったって、連絡あった。」


「そりゃ、残念だったな。」


「まぁね。でもプロは結果の世界だから。」


「キャッチャーとしての出場もないの?」


「うん、今のところは。」


ノムも野球はあまり見ないそうだけど、彼は聡志と同じTK大の出身で、何回か駆り出されて、野球部の応援にも行ったそう。じゃ、スタンドで会ってたかもしれないね、なんて話したことがある。


ちなみに聡志とは学部も違い、全く面識ないとのこと。


「じゃ、GWは由夏の方が仙台に行くの?」


「うん、そうしないと、いつ会えるかわかんないからね。」


美優の問いに、私は答えた。
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